松岡修造のコトバ|苦しい時ほどWHYではなくHOWで捉える

元プロテニスプレーヤー、松岡修造氏のコトバ。

彼の人となりの説明は不要だろう。
すっかりバラエティでお馴染みとなり、その熱さから日本で異常な寒波が発生した日には、彼の所在が確認されるようになったほど(なんちゅー話だ)。


「熱血」「一生懸命」といったコトバがよく似合う彼だが、その口から紡がれるコトバの魅力は、熱量ばかりではない。その一生懸命さゆえか、あるいは彼が選手時代に残してきた実績からか、その人柄からか、彼の口から紡がれるコトバは、不思議なほどの説得力を持つ。


「伝わるように伝える」というのは、結構難しいことで。
伝えたい想いだけでも、伝えようと工夫を凝らしたコトバだけでも足りない。その二つがそろった上で、その発した人自身の人間性や普段の行動、残してきた結果、そしてそれを聞き手がどう捉えているかが大切になってくる。


幸いにも(?)ボクは昔テニスをやっていたこともあって、彼のことは1人のテニスプレーヤーとして尊敬している。今は「熱血芸人」的な側面も演じているけれど、ひたむきさや真摯さが本物であることは、彼が残してきた歴史が物語っている。




さて、今日のコトバは、雑誌Number(前回に引き続きで恐縮ですが)で連載されている「熱血修造一直線」の「宮里藍が受け入れた“ありのまま”の自分とは」というコラムから。


記事そのものは、世界ランキング1位をとってから長く苦しい時を過ごした宮里藍選手の、その復活の兆しにフォーカスをあてたもの。その中で、宮里藍選手の話を聞き、彼の現役時代を振り返ってこう記している。




この話を聞いて、僕が現役時代、怪我に苦しみ、試合に勝てずもがいていた時に大切にしていた言葉を思い出した。苦しいときほどWHYではなく、HOWで捉える。こんなに頑張っているのに、何故僕だけと考えるのではなく、今の状況でどうすれば前に進めるか、と捉えることで突破口が開けたのだ。




苦しいときほどWHYではなく、HOWで捉える



一生懸命頑張っていたとしても、どれだけ努力をしていたとしても、苦しいときというのはやってくる。むしろ、努力を惜しまない人ほど、チャレンジをしていて、だからこそ苦しみも味わう機会が多いのかもしれない。


そんな苦しみから脱するために「なぜこうなってしまったのか」と考えるようになる。
解決策を探るために原因を探る、というのはすごく自然な行為だ。
でもときに、その「なぜ」に答えがないことがある。あるいはあったとしてもどうしようもないことがある。ボクは「WHYの迷子」と呼んでいるのだけど、まじめだからこそ、実直だからこそ、答えのないWHYを追及し、いつしかその迷路に迷い込んでしまって、「なぜ」「なぜ」と苦しみに捉われ続けてしまうことがある。


そんな時は、一旦現状を自然体で受け入れてみる。コトバを選ばずに言えば、「ま、自分なんてこんなもんか」と、ある意味で一回諦めてみる。


スタートラインを引き直すんだ。


過去に実績を出している人ほど陥りがちだと思うのだけど、無意識に自分の良かったときをスタートラインにしてしまっていることがある。成長意欲を高くもつ、という意味でそれは素晴らしいことなのだけど、必ずしも人生いつもいいときばかりではない。

高く引かれたスタートラインを下回り続け、自分に幻滅してしまい、なぜこんなこともできないのか、と自分を責め続ける。そして、そんな精神状態でいつづけたことで他のことまでうまくいかなくなり、自信を失い、さらにまた自分を責める、という負のスパイラルにはまってしまう。


だから、思い切って、一旦諦めてみる。
今の自分の状態をスタートラインとして引き直してみる。
そして、そのスタートラインから、どうやったら先に進めるか、というHOWを考えてみるんだ。


そうすると、わずかな進歩でも成長を実感できるようになり、いつしかまた追い風が吹き始めたことを感じられるようになる。いわゆる、「吹っ切れた」状態になれる。





苦しみが続いて、何かを変えようともがいて、足掻いて。
それでもなかなか変わってくれなくて、自分に言い訳しようとしている自分を、情けなく感じたりして。
でも仕方ない。それもまた自分の一部。
たとえそこがネガティブの極地でも、そこでスタートラインを引き直して、また前を向けばいい。前に進むための一歩を踏み出せばいい。




苦しいときほどWHYではなくHOWを。
ボクもボク自身に言い聞かせていこう。





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