大橋トリオが歌う、宇多田ヒカルの「Stay Gold」のカバーを。
世界観。
大橋トリオの魅力を一言でいえば、それに尽きると思う。
声、歌い方、アレンジ。
そのすべてに彼の血が通って、彼の世界を創っている。
日本では、徳永英明あたりから一大カバーソングブームが到来した。色んなアーティストが、同性・異性かかわらず、あるいは国籍も問わずカバーをし、今となってはしばらくカバーソングしか聞いてないぞ、というアーティストすらいるくらい。
消費されてしまった音楽の魅力を再度復活させる、という意味でカバーソングの持つ役割は大きいと思っている。例えばジャズの世界では「スタンダード」と呼ばれる曲たちが存在しているけど、それも広い意味ではカバーソングだと思えば、未来のスタンダードが、このカバーソングブームから生まれるかもしれない。
ただ前提として、カバーをすることで、カバーをしたそのアーティストの曲となるくらいまで作りこんでほしいとは思う。カラオケのように、アレンジもほぼそのままで、歌い手だけが変わる、というのだと、少々味気なく感じてしまう。
そういう意味で、この大橋トリオの「Stay Gold」は完璧なカバーソングだ。完全に大橋トリオの曲になっている。大橋トリオの世界観で語られている。
ささやくような声が、悲しくもやさしいピアノと共に奏でられていく。
悲しいことはきっと、この先にもいっぱいあるわ
My darling, stay gold. 傷つくことも大事だから
そう、無言でそっと隣に座ってくれている。
そんなやさしさに包まれた世界になっている。
夜に聴くといい。夜も更けたころに。
降り出した雨のしずくがぼかした光を、窓越しに見つめながら。
ちょうど、今日の夜のように。
※知らない方のために、彼は「大橋トリオ」という名の『一人』のアーティストです。
※カバーソングという音楽との出会い方を創るための姉妹メディア「Covers Lovers」もよろしければどうぞ。
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