「ハチミツとクローバー」のコトバ|「不幸自慢禁止」って。

羽海野チカさんの名作マンガ「ハチミツとクローバー」(©羽海野チカ / 集英社)の1シーンより。美大生たちを中心とした、恋愛、就職、友情などなど、ザ・青春という要素が詰まったマンガ。よくよく人間関係を整理すると、とってもドロドロしていそうな相関図になるのだけれど、透明感のある絵とセリフの選び方によって全然ドロドロ感がないので、男のボクでも楽しめる。

©羽海野チカ / 集英社


自転車に乗って、ふと自分探しに出た主人公の竹本は、東北で修復師たちの一団と出会い、少しの間アルバイトをすることに。しかし、あまりの居心地のよさにすっかり居ついてしまい、竹本は自分探しも忘れてアルバイトに精を出す。無意識に現実逃避をしているように。


そんな竹本の姿に業を煮やしたのが、修復師一行で最年少の六太郎。「自分探し」なんて迷い方ができるのは、余裕があるからだ。兄弟が9人かつ貧乏な家庭に生まれた自分は、15才のときに家を出て、16才から働いている。そんな自分に比べて、おまえは甘ったれだ、と。


六太郎がその言葉を言い終えるか否かといううちに下される、棟梁のゲンコツ。
そして、こう告げるのだった。


最初に言ったよなあ?ええ?六太郎よ。『不幸自慢禁止』って。
お前だけじゃねェ、みんな事情はある。―――が、腹におさめてがんばってんだよ。
キリがねえんだよ、そこ張り合い始めたら。全員で不幸目指してヨーイドンだ。
そんなんどこにイミがある!?

(© 羽海野チカ / 集英社)



不幸自慢禁止

もしかしたら無意識かもしれないけれど、大なり小なり不幸自慢をしている人はよく見かける。だから、もしかしたらボクもその一人なのかもしれない。
(別に自分を不幸だなんて思っていないけれど、そう聞こえてしまうことがあるかも)


過去が連なって今がある以上、どんな不幸なことがあったとしても、それを変えられるわけじゃないから、自分が不幸であることをアピールすることに何の意味があるのかは、個人的にはよくわからない。むしろそれを繰り返すことで、自分で自分を不幸な人間に仕立ててしまっているんじゃないかと思うくらい。


それは、ボクが幸いにも立てなくなるほどの不幸に巡り合ったことがないからかもしれないけれど、不幸な経験は密かな原動力にするか、笑い話にするくらいがちょうどいいんじゃないかと思っている。



苦労自慢も禁止

不幸自慢のプチ版でよくあるのがこれ。特に多いのが睡眠時間競争。

「昨日徹夜して…」とか「今週●時間しか寝てなくて…」とか。


頑張っているのはわかるし、疲れているんだろうから話を聞いてあげたいとは思う。
でも、まれにクオリティ低下の言い訳みたいに使っている人を見ると、ちょっと納得できない。それは単に間に合わなかっただけの話で、反省しなければいけないところなのに、「私は徹夜してまで頑張りました」と、自分は悪くないかのように出られてしまうとちょっと困る。


ボク自身も、作業が間に合わず、自分が思い描いたクオリティを下回ってアウトプットしてしまったことはある。その結果、望まない結果になってしまったこともある。
そんな時は、徹夜してまで頑張ったんだから、まずは労ってくれよ、なんて思ってしまいそうになるけれど、そこはグッとこらえなくちゃいけない。


あー、俺のバカ。


なんて思って、次こそは繰り返すまい、と肝に銘じる。
苦労したことは自慢するのではなく、自分に対しての苦言とするくらいがちょうどいいんじゃないかと思う。



そもそも自慢禁止

というか、そもそも、あんまり自慢自体しなくていいんじゃないかと。
個人的には誰かの努力のエピソードを聞くことは嫌いではないからいいんだけど、あまりに自慢ばかりを繰り返す人を見ると、ちょっと辟易してしまう。

ボクが尊敬する人たちは、自分が行ってきた実績に誇りは持っているものの、こちらから詳しく聞かない限り、自慢話として見せびらかしたりしない。


一番カッコ悪いのは、他慢とでもいうべきもの。
「俺の先輩●●なんだ」とか、「俺の友達、●●と知り合いなんだよ」とか。
自分、関係なくね!?って思ってしまうような話は、意外と多かったりする。
(後者なんて、もはやだいぶ遠い他人の話だし)


まだ自慢だったら、自分でやったことだからいいけれど、それすらなく他慢ばかりだと、本当に何もない人なんだろうなーと思ってしまう。




本当に自信を持っている人は、いちいち自分のすごさを喧伝したりしない。
本当にすごい人ほど、自分の至らない部分も把握しているから、謙虚さを忘れなかったりする。

無意識で言ってしまうことがあるからこそ、意識的に自慢話をしないように気を付けようかと。


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