海堂作品の中でもダントツで好きな、「ジェネラル・ルージュの凱旋」より。
彼のバチスタシリーズは全部読んでいるのだけれど、その中でも圧倒的に、本当にダントツで好きなのが、この「ジェネラル・ルージュの凱旋」。
小説を読んでいる時から、これを映像化するとしたら、堺雅人だろー、と思っていたら、ホントにそうなった(映画版。ドラマ版は西島秀俊)。
堺雅人扮する、救命救急センター部長の速水が、副部長代理の佐藤に向けて言った、今日のコトバ。
シーンは物語のクライマックス。
近隣のバイパスでタンクローリーの横転事故が起き、炎上。
そのバイパスのすぐ下には石油コンビナートがあり、その上にはその日オープンするショッピングセンターが。
大きな事故になる。
そう予感した速水は、まだ通報も何も起きてないタイミングから準備に入る。
救命救急センターの「将軍(ジェネラル)」の降臨だ。
実は速水は、その強引ともとれる手腕から、院内に敵が多かった。
毎日のように怒られていた佐藤も、その腕には敬意を払いつつも、人としてどうなのかという疑問は抱いていた。
詳しくは割愛するが、その佐藤が速水に反旗を翻す。
その様を見て、自分と同じところまで上り詰めたと悟った速水は、これから起こるであろう大事故を前に、佐藤に重役を任せた。
「いいか、迷うな。佐藤ちゃんの判断イコール俺の判断だ。自信を持て」
速水は、そう佐藤に声をかけたのだ。
「決断」とは、事前に正解がわかっていない事象に対して、何かしらの理由に基づき意思を決定することだ。もちろん、できる限りの情報を事前に集める努力はするが、どこかで線を引かなければいけない。
極論いうと、「腹を括る」ということが、決断にもっとも求められる力だと、僕は思っている。「何を決断するか」というより「決断したことに腹を括れるか」の方が大事だと。
まして火事場のような、一瞬一瞬の判断がとてつもなく重要な場合、イチイチ情報を集めてからどうこう、なんて悠長なことをやっている時間なんてない。
信じられるのは、これまでの自分。
そこが揺らいでしまうと、何も判断ができなくなる。
その場へと送り出す部下に向かって「おまえの判断イコール俺の判断」というコトバは、すごく大きな後押しになるんじゃないだろうか。
おまえはもう俺と同じレベルだ、とも、責任はすべて俺が取る、ともとれるこのコトバ。
それまでのストーリーと相まって、ホントに痺れます。
僕も、メンバーに意思決定までを任せるときは、このコトバを伝えようかと。
※すでに1度実践済み。結果は、たぶん効果的だったと思う。
できれば小説で読んでみてほしいけれど、苦手な人は映画でもいいと思います。
原作を読んだ上で見ても、映画の出来は素晴らしいので。
ぜひ一度ご賞味あれ。
※ちなみにこのシーンは文庫だと「下巻」です。
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