「四月は君の嘘」のコトバ|僕は海図のない航路を行く

2015年5月に単行本でも完結を迎えた、新川直司さんのマンガ「四月は君の嘘」(講談社)より。

久々に心が震えるようなマンガに出会った。初めてこのマンガに触れたとき、そんな感覚だった。

かつての天才ピアニストである主人公有馬公正と、破天荒なバイオリニスト宮園かをりの二人を中心に、人間味豊かなキャラクターたちとともに繰り広げられるストーリーは、印象的なコトバたちと、確かな技術のある画力とともに描かれていく。

おそらく最初から、最後のシーンは決まっていたのだろう。
ミステリー小説などに見られるような、いくつかの伏線の帰結が最後に描かれていき、心に何かを確実に残すようなカタルシスへつながっていく。
(あんまり言うとネタバレになるのでこの辺で)


多くのマンガが、人気が出るとやたらと引き延ばそうとして、結果間延びだけしていく中で、潔く(というかおそらく当初の予定通り)コミック11冊で完結を迎えるというのも好感が湧く。
ここ数年のマンガの中で、とびきりのヒット作。
今日のコトバは、そんな「四月は君の嘘」のワンシーンから。


「海図にない海を帆走するには勇気が要るのよ」


スヌーピーで有名なピーナッツのコトバを引用して挑戦を促す宮園かをりの後押しを受けて、コンクールに向けて寝食を忘れてピアノの練習に没頭する有馬公正。

自分の中にある様々な葛藤と向き合いながら、苦しみつつも努力を重ねる彼の姿を見た宮園かをりは、その苦しみに気付きながらも無責任に「頑張って」と声をかけたことで、さらに苦しめたのではないかと謝る。

そんな彼女に向けて発せられたのが、今日のコトバ。



苦しそうか、困ったな
苦しいのは当たり前なんだけどな
僕は海図のない航路を行くんだろ?
挑戦するのも、生み出すのも、苦しいよ
でも、充実してる



海図のある航路。
そんなものが人生にあるのだろうか。

少なくとも、ボクは知らない。

あるとすれば、これまで通ってきた道と、今いる場所。
その2つを示す海図だけだ。


ここからどこを目指せばいいのか。
今自分がいる場所から、少しでも前に進もうと思えば、海図のない航路へ挑戦することになる。

そしてそれは、苦しくて当たり前の世界。


人生の先輩たちに意見やアドバイスをもらえたとしても、苦しみを乗り越えるのは自分の力。苦しみの中で歩を進めるのは、自分の足。

そうやって苦しみ抜いた先に待っているのは、少しの達成感と、また新たな海図のない航路なんだけれど、人生ってきっとその連続だから、ボクは苦しみを乗り越えた先に期待することよりも、苦しみを乗り越える過程で得られる充実感を楽しむ方がよいのだと思っている。


たぶん、生きていくっていうことそのものが未だ経験のないことだから、それそのものが一つの挑戦で。
だから生きていく以上、苦しみは避けられないんだ。
ストレスもたまるよ、きっと。

でも、生きるのをやめようとは思わないから、だったらその苦しみにもがくことすら楽しめるように、自ら主体的に何かにトライして、挑戦している実感を得た方がいいんじゃないかと思う。


苦しむのは、当たり前なんだ。
ボクが生きるこの人生の海図を、誰かがくれるわけはないんだ。
ボクが生きるこの人生の海図を描けるのは、ボクだけなんだから。




【よろしければこちらのコトバも:マンガの名言】

困難にブチ当たった時こそ本当に目を見開いて向き合う瞬間 from 血界戦線



コトバドロップス。:HOME

0コメント

  • 1000 / 1000

コトバドロップス。

誰かの発したコトバを「for me」に、そして「for you」へ。

コトバドロップス。とは

誰かの発したコトバを「for me」に、そして「for you」へ。
アスリート、アーティスト、マンガなど、さまざまな分野で活躍する人たちが発した、残したコトバを好き勝手にピックアップしてお届けしてます。